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【ブランド保護の重要性~「長浜家」判決~ その2】2013年3月8日


前回の続きです。

 

さて、訴訟での注目の判決は以下のとおりとなりました(未だ報道ベースですので詳細は不明です)。

 

なお、知財の判決については、知財高裁、東京・大阪地方裁判所の知財集中部の判決は、多くが数日で裁判所ウェブサイトに掲載されますが、当地佐賀や福岡の判決などは、なかなか掲載されませんので、判例集に載らない限りわからないのが実情です)。

 

ラーメン「長浜家」2店の訴訟 福岡地裁、屋号差し止め請求棄却

 

 

福岡市中央区のラーメン店「元祖ラーメン長浜家」が近くの同じ屋号の店に商標権を侵害されたとして、屋号の使用差し止めと売り上げ減少分の賠償などを求めた訴訟の判決で、福岡地裁は6日、「原告は被告に屋号の使用を許可していた」として請求を棄却した。

岩木宰裁判長は判決理由で、被告が原告の店で働いていた当時、運営を巡ってトラブルになり、原告が「店の名前を使って自分で経営すればいい」という旨の発言をしていたと指摘。

被告が独立する際、「元祖長浜家」の屋号使用を認めるという覚書を両者が交わしていることから、原告側は「元祖ラーメン長浜家」の使用は認めていないと主張したが、岩木裁判長は「『ラーメン』の有無に違いがあるにすぎず、意識的に区別していたとはうかがえない」と退けた。

判決によると、原告と被告はいずれも、別のラーメン店「元祖長浜屋」の元従業員。2009年12月に約30メートル離れた場所で独立開業した。その後被告は原告の店も辞め、翌年4月に約100メートル離れた場所で開業した。

原告の代理人弁護士は「不当な判決」とし、控訴する方針。被告側は「コメントできない」としている。両者は裁判所の勧めで和解に向けた協議もしたが、決裂していた。

(2013/3/7 1:58 日本経済新聞 電子版)

 

ということで、地方裁判所では原告の敗訴となったようです。ただ、敗訴の理由としては、①事前に同じ屋号で営業する了承は得た、という主張が認められたためで、長浜や元祖は一般的名称で誰も独占できない、との点は判断されていないようです。

 

被告としては、とりあえずほっとしたところでしょう。経緯や具体的内容は不明ですが、独立の際に屋号について文書(覚書)を取り交わしておいたことが貴重な防具となったものです。

 

 

他方、原告としては、完全に一致した屋号での経営まで認めるつもりではなかったでしょうし、原告と被告との関係にもよりますが、自己が商標権を取得までしたものを「無償で・永久に」利用して良いとの意思はなかったでしょうから、控訴審では、この文書の解釈を巡るさらなる攻防が予想されるでしょう。商標権取得前に独立している経緯からしても、商標権のライセンス契約に必要な条項が網羅されているとも思えず、高等裁判所がこの点にどのような判断をするのか注目されます。

 

しかし、仮に本件で原告敗訴が確定した場合でも、このままでは、本来別々の店舗である「原告長浜家」と「被告長浜家」は、お客からみて同じ系列店とみられてしまう可能性が極めて高いでしょう。そして、「原告長浜家」には商標登録がされている以上「被告長浜家」が「原告長浜家」に対し、屋号を利用することを求めることもできません。

 

本来、商標の機能は、自他識別力(ある商品・サービスが自社により提供されていることをお客さんに明確に示す機能)を発揮するところにあります。そうであればこそ、商標登録に際しても、同種・類似する商品・サービスについて他社が登録している商標と一致し、あるいは類似する商標は登録が認められていません。

 

そうしますと、本件では原告長浜家が自己の利益を奪われたと主張していますが、将来的に被告長浜家の評判が上向き、利益がより大きくなった場合に、被告長浜家としては屋号の変更等を考えざるを得ないかもしれません。そのような経緯があるので、以下のように、裁判所も和解を強く勧めていたようです。

 

 

 同じ「元祖ラーメン長浜家」2店の屋号争い、判決へ 福岡地裁

(前略)・・・裁判所は和解を勧め、協議では被告の屋号の「ラーメン」の位置を後ろにずらして「元祖長浜家ラーメン」に変更する案が持ち上がった。しかし被告側が提示した変更後の看板案は、字体はそのままで一見した印象もほぼ変わらない、と原告側には映った。

このため、原告側はさらに、変更後の屋号の使用を被告の一代限りとし、変更前の屋号の入ったどんぶりの使用は現品だけに制限することを要求。今度は被告側が拒否するなど応酬が続いた。

(2013/3/4 18:23 日本経済新聞 電子版)

 

 

和解協議でも、原告側は商標登録をしていることから、簡単には引き下がらず、また被告もぎりぎりの変更に留めようとしていた様子がうかがわれます。

 

なお、被告から原告に対しては、商標登録が無効ではないかとの異議申立、無効審判請求( 2011-890066 )・審決取消訴訟なども提起されているようですが、こちらは棄却されているようです(知財高裁平成24年12月25日判決)。

裁判所ウェブサイトPDF

 

 

 

(続く)

 


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