【特許保証と保険】2012年11月12日
開発委託契約、ライセンス契約等を一度でも締結した会社であれば、以下のような特許保証の条項の入った契約書にサインしている、といったことも多いと思われます。
第●条(知的財産権の保証)
受注者は、納入物が第三者の保有する知的財産権を侵害していないことを保証する。また納入物の内容又はその利用が第三者の知的財産権を侵害するとして、発注者と第三者との間で損害賠償等の紛争が生じた場合においては、受注者は、自己の責任と費用負担において一切を解決しなければならない。
特許を取得しているような場合でも、いつ自社の特許が無効となり、あるいは調査外の権利を侵害している事実が判明するといったことは稀ではありません。ましてや、ソフトウェア関連発明となれば、開発の経過、納期、受注金額等に照らしても、パテントクリアランス等に対応できないまま、特許保証を受け入れていることも多いのではないでしょうか。
このような場合、もちろん契約書のチェックの段階では、特許保証条項への一定の譲歩を求めるよう助言しますが、力関係からするとなかなか厳しいことが多いです。
そこで、このような場合に備え、以下のような保険が発売されたようです。
(以下引用)
アプリ開発企業向け保険、訴訟費や賠償金を補償
読売新聞 11月12日(月)7時5分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121111-00000344-yom-bus_all
東京海上日動火災保険は、スマートフォン(高機能携帯電話)向けアプリ(ソフト)を開発する企業が、アプリを巡るトラブルで損害賠償請求を受けた場合などに、訴訟費用や賠償金などを補償する保険の販売を始めた。
市場が急拡大するアプリを巡っては、開発会社が競合相手から著作権侵害で訴えられるなどのトラブルの発生が予想され、保険の需要が高まると判断した。アプリが想定通りに動かず、導入した企業から損害賠償を請求された際の賠償金や、個人情報が流出した場合の顧客への見舞金なども対象とする。
保険金は最大10億円。アプリ開発会社が払う保険料は、売上高10億円の企業が支払限度額1億円の保険に入ると年間約356万円になる。
(引用終わり)
このような保険があると、委託開発も安心してできるかと思い、紹介しました。
もちろん、責任の範囲を合理的な限度に留めることは引き続き必要です。前記条項例についてもいくつかの対策が考えら得ると思いますので、特許保証(限定)条項については、一度は専門家に見てもらうことをお勧めします。
(追記)
しかし、よく見ると保険料が結構高いですね・・・。1億円の保険に入れば、法務部員を1名採用できそうです。どちらがより役に立つ「保険」となるでしょうか(笑)